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腎不全
腎不全とは、腎臓のろ過機能が衰えてしまう病気のこと。急性・慢性がありますが、猫で特に多く見られるのは、中年齢以降の猫での慢性腎不全です。腎不全はその初期にはほとんど症状が見られず、症状が現れたころにはかなり病気が進行していることが多いのです。
 
主な症状は
 
初期・・・よく水を飲む、尿の回数が多い
中期・・・食欲不振、体重減少、元気消沈
後期・・・眠ってばかりいる、嘔吐、便秘
末期・・・貧血、口臭、痙攣、昏睡   などです。
 
慢性腎不全では腎臓の機能の約75%が失われてはじめて症状がでてくるといわれます。そのため気がついた時にはすでに生き残った腎臓組織は25%以下ということ・・・・
 
一般的には、脱水を補う為の補液や毒素吸着の為の活性炭投与を行ないますが、最近では腎臓の毛細血管を守る血管拡張剤が腎不全の予後を改善することもわかってきました。また、食事に関しても適度に蛋白を制限し、抗酸化物質を含んだ処方食で腎不全の悪化を防ぐことができます。
 
当院ではそれらの治療に加えて、鍼灸を応用したレーザー照射治療や、組織の破壊を抑える効果のあるセファランチンという漢方的な薬の投与など、生き残った腎臓を守る為の治療を併用して行なっています。
 
このページでは、当院で腎不全と診断され、以降治療を続けながら頑張っている子達を紹介します。
 
 
 
 

ジャンクフードが腎不全を引き起こす
ジャンクフードが腎不全を引き起こす
レーザー治療のページにも登場しているプードルのアントンくんですが、初診時にやけに栄養状態が悪く脱水気味なのが気にかかり血液検査を行ないました。すると2歳の若さにも関わらずBUN35(正常は7〜25)、CRE1.6(正常は0.3〜1.4)と腎不全状態であることが判明!聞いてみるとアントン君の主食はジャーキーやスナック、チーズなど、犬のジャンクフードといわれるものばかり。ジャーキーやおやつ類には防腐剤や添加物が多く使用され、消化器症状や内臓疾患の原因となることが獣医学会でも報告されています。実際診療していても、慢性の皮膚病や嘔吐下痢を訴える子は、それらのフードを多給されていることが少なくありません。
 
飼い主さんはまさか腎不全になっていようとは思ってなかったようですが、フードを改め治療するうちにみるみる体重が増え元気になっていくアントン君を見て、食事療法の大切さを痛感しているようです。
我が家の猫も戦いました
我が家の猫も戦いました
2005年11月、10歳のときに血液検査で腎不全になっているのが発覚して以来、11ヶ月間頑張ってくれました。
2006年9月に亡くなりましたが、じゅりは身をもって治療に反応し、回復する過程を示し、そして悪化して亡くなるまで多くのことを教えてくれました。
 
じゅりの場合は、症状の進行から考えて、もしかしたら腎炎など腎不全を悪化させる素因があったのかもしれません(死後病理検査に出していないので何ともいえませんが)
 
腎不全といっても原因は様々で、尿路の閉塞による急性のものでは症状は激しいものの、早期に原因が解除されれば予後はいいことも多い一方、猫エイズや白血病で腎臓に深刻なダメージが出た場合の腎不全は非常に予後が悪い傾向があります。そのほかにも腎炎やネフローゼ、腫瘍など、腎不全に陥る病気は多く有ります。
 
検査結果の一例
検査結果の一例
上からALP(アルカリホスファターゼ)ALT(アミノトランスフェラーゼ)は肝機能の指標となる数値です。腎機能を示すBUN(血中尿素窒素)が53(正常は10〜30)、CRE(クレアチニン)が4.0(正常は0.3〜2.1)
参考までに、GLU(グルコース)は血糖値、TP(トータルプロテイン)は血中総蛋白の数値です。
 
 
クレアチニン(CRE)の意義
クレアチニン(CRE)の意義
CREは腎機能をBUNよりも鮮明に反映するといわれています。CREが正常範囲を逸脱しているということは、それだけ腎臓の機能が低下していることを意味します。
 
 
腎不全用処方食
腎不全用処方食
腎臓に負担をかけるリンやタンパク質を制限し、アミノ酸や必須脂肪酸を増強してあります。
 
食餌管理は腎不全の重要な治療の一環です。病気の予後も良質の食餌をしっかり食べれるかどうかによって大きく変わってきます。療法食を受け入れず、好みがうるさい子はなかなか思うように治療が進まないことも・・・。
レーザー照射
レーザー照射
病院では腎不全の子にレーザー治療も併用して行います。腎臓のツボ【腎愈】にレーザーを照射することで、鍼灸治療と同じ(それ以上の)効果が期待できます。
腎臓の血行を促進し、機能を高めるといわれています。
注射治療の一例
注射治療の一例
じゅりのある日の注射の内容
左から
●皮下補液用のリンゲルに水溶性ビタミンや強肝剤をプラスしたもの
●リンゲル+ウリナスタチン(組織保護作用)
●セファランチン(貧血と組織破壊予防)
●抗生物質
 
ベティちゃんと注射
ベティちゃんと注射
19歳になるベティちゃん。突然の眼底出血から両目を失明しながらも元気にしていましたが、嘔吐と食欲不振で血液検査をしてみたところ腎不全が発覚しました。
検査結果
検査結果
腎不全の程度としてはかなり重度な部類に入ります。2〜3日に一度補液や組織破壊を抑えるセファランチン、ウリナスタチンという薬を皮下注射することになりました。注射後はとても体調が良くなるそうですが、年齢的にも徐々に反応は悪くなることが予想されます。
お姉さんより年上です
お姉さんより年上です
このお姉さんが生まれる前からすでに家にいたベティちゃん。家族みんながベティちゃんを大切に思っているのがよくわかります。

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